多摩市連光寺の「農業公園を作ろう」プロジェクト。
今回は、野菜でも人間でもなく、雑草について語りたいと思います。
雑草の勢いはすごい!
夏の畑は、雑草との戦いです。
気温が上がり、さらに梅雨の降雨で様々な雑草が急激に生えてきます。
これらの雑草は、造園業者の方々や私たちが定期的に刈っています。また、市内農家の方々にも、農機具を用いた草刈などをご協力いただいています。
更に、それらに加えて、農業公園市民サポーターの皆さんにも作業にご協力いただいています。
天候や畑の環境によって、雑草の勢力が異なるのが興味深いです。
多摩市農業公園に生える雑草は、私たちが普段耕している畑のものとは違うので、対策も変えています。
農業公園の雑草
今回は、農業公園で目立つ雑草4種類を紹介したいと思います。
ではまず一つ目。
スギナ
スギナは、あまり大きくならずかわいらしい見た目ですが、何度草取りをしても生えてきます。
他の雑草とは違い「地下茎」と言われる根が土の中を拡がっていくためです。
刈ったとしても地下茎が残っていると、また別の場所からすぐに生えてきます。
どこまでも根が拡がり生えてくる様子から「地獄草」というおどろおどろしい別名がついています。
正直、夏の時期は目立たないのですが、春にもっとも拡がっていて苦労したので取り上げました。
カヤツリグサ
写真が少し分かりづらいですが、この植物はカヤツリグサの仲間です。
カヤツリグサの特徴は、マルチ(畑に敷く覆う物)を突き破ってくる突破力。
一般的に、マルチを貼れば太陽光が入らなくなり雑草が生えてこなくなります。
しかし、カヤツリグサには地下茎があり、マルチの無い箇所から栄養を補充して成長し、マルチを突き破るのです。
カヤツリグサもスギナ同様、夏には他の背の高い雑草に埋もれてしまうので目立たないですが、マルチを破る特異性から、紹介しました。
せっかく一生懸命敷いたマルチを破壊してしまうカヤツリグサは厄介な雑草です。
メヒシバ
3つ目は、メヒシバです。
メヒシバがやっかいな点は、伸びるスピードです。
根の成長点が残っているとすぐに伸びて来て、2週間も経つと膝上ぐらいまでになります。
今年の夏も、いったい何回、同じ草を刈ったことやら…
株数も最も多く、どこの畑にいるのが、このメヒシバです。成長点を刈ることができれば伸びてこなくなります。
ですが、もともとの数が多すぎて、刈っても刈ってもすぐまた伸びてきているような印象を受けています。
葛(くず)のツタ
農業公園を管理する私たちをもっとも苦しめているのが、「葛(くず)」です。
葛の最大の特徴は、どこまでも広がり、どこへでもからまっていくツタです。
とても丈夫でありながら、伸びるのが早いです。
梅雨の時期には1日に80cmも伸びることがあるとか!
草刈機で葛やその他の雑草を刈るのですが、ツタが草刈り機に絡んで何度も機械が停止してしまいます。
また、根っこも長いので耕運機でも同様のことが起こります。
このため、ツタが拡がっている箇所は、草刈り機よりも人力で鎌を使って刈る方が、作業時間は早く済むと感じています。
この葛は、日本各地の農地、草地などで増え続け、今や社会問題にもなっています。
地元の農家さんからは、ご自身の畑では、葛は伸びる前に頻繁に取って、伸びないように心がけていますという話を伺いました。
そういったことも踏まえると、農業公園の事業を進めていく上で、葛を上手く抑えることは大きな課題だと感じています。
まだ具体的な対応策は少ないですが、今後もしっかり考えて対策を進めていきます!
雑草も悪いことばかりではない
今まで、散々、雑草の悪口を書いてきましたが、実は、良いところや使いみちもあります。
例えば、硬くなりがちな土壌を、雑草の根が耕してくれたり、雑草の根を通じて土に空気が入り、微生物が活動しやすくなったりするのです。
また農業公園では、資源循環を進める観点から、雑草を堆肥化する取り組みも行っており、雑草を利用した土壌改良が期待できます。
さらに、刈った草を野菜の根元にびっしりと敷き、ビニール製のマルチの代用となる「草マルチ」を作ることもできます。
やっかいな葛のツタは、刈って乾燥しておくと、丈夫な天然の紐として利用でき、たとえば、リース作りなどにも応用することができます。
さらには、根から葛湯の原料となる葛粉を作ることもできます。このように、葛は、工夫次第で道具、資材や食品にもなります。
先ほど紹介したスギナも、ツクシとして食べたり、スギナ茶として楽しんだりすることもできます。
多摩市農業公園では、多様な生態系を保持しながら農業を進めていくという考えのもと、雑草との上手い付き合い方を模索していきたいと日々考えております。
何はともあれ、夏は多種多様な草と出会える季節です。
ご興味がありましたら、ぜひ農業公園での取り組みにご参加ください!
(畑会 山田)