生産緑地ってなんだ?【用語解説シリーズ その1】

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聞いたことありますか?「生産緑地」

あぐりあぐりでは、地元の農業をより詳しく知っていくための用語解説シリーズをお届けしてまいります。

生産緑地、という言葉を聞いたことがありますか?

多摩市では田畑の一部が生産緑地に指定されているのですが、街づくりの業界の専門用語なので、ちょっと難しいなあ、と思うかもしれません。

でも、このデータを見てください。

多摩市の農業を語るうえでは外すことのできないキーワードであることが分かると思います。

●1992年から2018年までの農地の減少幅…およそ51%減

●同じ期間、農地のうち、生産緑地の減少幅…およそ0%

データ出典:多摩市市民経済部経済観光課『多摩市農業振興プラン 平成31年3月』第2章 多摩市の農業・農地の現状 

つまり、多摩市では農地が年々減少していて、これは市民のみなさんも実感しているところかもしれません。

が、生産緑地に関してはあまり減少していないのです。

生産緑地は、良好な街を作っていくために、緑地を残していくことが大事だという考え方のもと、農地所有者の申し出によって市が指定します。

生産緑地のメリットとデメリット

指定されると、お得なこととお得でないことがあります。

お得なことは、固定資産税と都市計画税が減免されることです。

一方で、デメリットもかなりあります。

まず、簡単に売却することができません。また、建物を建てることも、原則、できません

畑の隅にある直売所が、鉄筋造りの建屋だったりしないのはこのためです。

そして、重要なことは、農地所有者自身がずっと田畑を耕さなくてはならない、ということ。

これはかなり高いハードルでした。

ただ、最近、そのルールは変更になりました。

1992年に施行された生産緑地法は、バブル期に無秩序に都市開発がなされ、都市に緑地が残らないことを危惧されてつくられました。

上記のデータのように、ある程度の狙いどおりの役割を果たしてきたといえるでしょう。

しかし、1992年から30年以上が経過し、生産緑地の指定を受けたときの農地生産者も高齢化したり、次の世代に移ったりしてきています。

「農地所有者自身が田畑を耕さなくてはならない」というルールが時代にそぐわなくなってきたのです。

生産緑地制度にも変化が

そこで、法制度が変わり、2018年からは生産緑地をやる気のある他の農業者に貸して耕作してもらうことができるようになりました。

農地所有者のなかには、さまざまな事情で、農業を続けられなくなる人も出てきます。

そうした場合にも、生産緑地を美味しい農産物を生産する場として残せるようになったのです。

隣町の日野市では、生産緑地を借りて新たに就農する人も出てきています。

また、生産緑地には建物を建てられない、と先ほど書きましたが、これも少し緩和されていて、直売所や農家レストランは建築可能になりました。

八王子市には生産緑地に直売所を建てた事例があります。

このように、生産緑地制度は時代に合わせてマイナーチェンジをしてきているのですが、いずれにしても、多摩市のような都市近郊の街が田畑を維持するためになくてはならない制度です。

今後もこの制度を理解し、活用していくことが街づくりにおいて大事なことだと思います。

※あぐりあぐりでは、今後も農業に関するちょっととっつきにくいキーワードを、わかりやすく解説していきます。

(Y.H.)

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