順調に見える畑の裏側。実は困難の連続でした!
連光寺児童館で家族体験農業2回目

連光寺児童館「ポテトメイト」の皆さんによる家族体験農業2回目。
5月に行なったサツマイモの苗植えと落花生の種まきから約2か月が経ちました。

畑の様子を見に行くと、
「さつまいもの茎が長く延びているよ!」
「落花生も葉っぱがたくさんついている!」と、子どもたち。一見順調そうです。

しかしながら、ここまで育てるのには様々な困難があったことを、畑を管理してくださっている農家の小島さんから伺い、一同驚いたのでした。

数日前に降った雨の影響で土が柔らかくなっていることから、今回は草取りなどの作業は行わず、成長観察を行うことにしました。
観察し始める前に、この2か月間の様子について、畑の管理をしてくださっている小島さんから話を伺いました。

「サツマイモは2つ大変なことがありました。 1つは日差しの強さです。サツマイモは暑さに強い野菜ですが、今年は初期から日差しが強かったため、成長が遅れました。
2つ目は虫です。前回の作業の時に「何かの足跡がある」と気づいてくれたお子さんがいましたね。その足跡の正体が分かりました。『ケラ(オケラ)』という虫で、雑食なので、土の中にいる虫だけでなく、野菜の根っこも食べてしまいます。 私が育てているジャガイモもケラの影響で半分以上穴が空いてしまい販売することができませんでした。」

「次は落花生についてです。落花生はですね、実はほとんど芽が出ませんでした。
そこで、皆さんが作業してくれた2週間後にもう一度私の方でも種を蒔いてみたのですが、それでもあまり芽が出てくれませんでした。時期も時期でしたので、出なかったところは種からではなくポットの苗を植え、ようやく葉っぱが増えて、花が咲き始めたというところです。」

落花生がほとんど芽を出さなかったと聞いて少ししょんぼりしている様子の子どもたち。
一方で、うまく芽が出た落花生もあったようです。


「K君が蒔いた種は3つとも芽が出てくれてしっかり育ちました。他の苗に比べて少し大きく育っているのがわかりますか?あのくらいの大きさに今頃みんななっている予定でした。これからの成長に期待しましょう」

K君に種の蒔き方のコツを聞くと、
「それほど深くしないで、指一本分で蒔いたのが良かったのかな」
と少し照れながら教えてくれました。

お話を聞いたあとはいよいよ観察です。葉っぱや茎の様子を観察し、それぞれ観察日記に記録していきます。

サツマイモのつるを巻き尺で図る子ども達も。

「一番長いのは131cm。ぼくの身長ぬかされた」

さつまいもの葉っぱと落花生の葉っぱの大きさや形が違うことに気づく子や、落花生の葉の間に黄色い花を見つける子もいました。落花生の花は黄色いのですね。

観察日記をつけたあとは、今後どのような作業が必要になってくるのかを小島さんに教えてもらいました。

「皆さんには2つの作業をお時間ある時で良いのでお願いしたいです。
1つ目は草取りです。雑草が驚くほどの勢いで生えますので、熱中症に気を付けながら雑草をたまに抜きに来てくださいね。」

小島さんたちが日々草取りをしてくださっているおかげで家族体験農業用の畑は今のところ雑草がほとんどなく、サツマイモと落花生がきれいに並んでいるのが見えます。しかし、隣の畑を見ると、雑草で覆いつくされていることに子どもたちは気が付きました。

「決してここで草を栽培しているわけではないですよ(笑)。この畑も皆さんと同じサツマイモ畑です。草取りをしないとこのように草だらけの畑になってしまいます。

「2つ目にお願いしたい作業はサツマイモの“つる返し”です。

サツマイモのつるはどんどん伸びて地面につくと、そこから根を生やしていきます。その状態を放置してしまうと、葉っぱがばかりが育って肝心なサツマイモに栄養が届きません。そこで、このようにつるをひっくり返して不要な根っこを土から離してあげる作業が重要となります。」
なるほど、だから子どもたちが観察日記を書いている間も、小島さんたちはつるをひっくり返したり、草取りをしてくださっていたのですね。

最後に落花生についても伺いました。

「落花生を蒔いた時、網を張り、さらには上の方に釣り糸を張り巡らせカラス対策を行いました。その結果カラスは近寄らなくなったのですが、カラスが来ないことを良いことに、カラスを怖がるスズメの安心する場所になってしまったのです。
スズメは“土浴び(砂浴び)”といって、体に付いた寄生虫や汚れを土に落とします。その汚れなどが落花生の成長に良くない影響を及ぼしてしまった苗もあります。
また、スズメだけでなく、ほかの動物たちも落花生を狙っています。網を張っていてもお構いなしに侵入してきます。私は他にトウモロコシやトマトなどの野菜も育てていますが、動物が食べた跡をよく見かけますよ。」

広大な農地ではなく、限りある農地で野菜を育てる「都市農業」。動物から集中して餌を狙われやすいという点は都市農業の苦労の一つだそうです。

今回の観察会を通じて野菜を育てることの大変さを目の当たりにした子どもたち。

「野菜が育って食べられるようになるまでって当たり前じゃないんだね」
「今度から、食べるとき集中して食べよう」

農業の大変さと普段食べられることのありがたみを知るきっかけになりました。

帰り際、落花生の苗を譲り受ける子どももいました。
「落花生は花がおちてその花が土にもぐって実を付ける野菜です。そのため、ある程度広い場所で育てる必要があるけれど、大丈夫かな?」と小島さん。

「うん。やってみるね!」

ご自宅では落花生以外にも様々な野菜を育てているとのこと。落花生も仲間入りだそうです。
おうちでも頑張って育ててね!

皆さん、家族体験農業2回目、お疲れさまでした!

(S.H)

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