今年の冬は農家さんから「寒さが厳しい」「なかなか作物が育たない」という声を聞くことが多かったです。
今回は、冬の農作物や農作業にまつわるお話をいくつかご紹介します。
かぶや大根の葉はなぜ無くなるのか?
大根やかぶの葉はとてもおいしいですよね。炒め物、浅漬け、みそ汁、ご飯のお供にも最適です。
市内の直売所でも多くのお客様が、新鮮な葉がついたものをお求めになります。
しかし12月末以降は葉付き大根・カブの類はとても少なくなります。
地表に出た葉が寒さで痛んでしまうからです。傷んだ葉は黄変してしまい、出荷できなくなってしまうのです。
葉がないのは寂しいけれど、それだけ寒さが厳しくなってきたのだなあと、季節の巡りを感じますね。
葉付きのものが並んでいる間に、存分に旬を楽しんでおきましょう!
カットされた大根のナゾ!
地中にあっても油断できません。土の中にある大根も寒さで凍ってしまうことがあります。
こちらは凍った大根の断面。変色した部分は組織が壊れてしまっています。
もちろん大部分が凍ってしまうと商品になりませんが、凍った部分が少しならばおいしい部分のみがカット大根として出荷される場合もあります。
手塩にかけた野菜が霜や寒さでやられてしまう…朝、畑に来てガックリですね。
小松菜などの葉物も、凍らないように布をかけて保護したり、雪予報の前にはまとめて収穫したりと、寒さ対策も大変です。
大人気レモンも…
昨年のことですが、レモンの木が霜や雪の被害にあい、レモンを出荷できなくなってしまった農家さんがいました。
何気なくレモンの調子はいかがですかと聞いたところ、大きなダメージでとてもびっくりしたのを覚えています。
電話口で気丈にお話しする様子に、天候にめげない農家の姿を見た思いがしました。
洗う水も当然ながら
冷たいです!!!
とても皮のキレイな柑橘を出荷している農家さんにお話しを伺いました。
なんと、実を1つ1つ水で洗いながらタワシで磨いているんだそう。
「当然、冬だから冷た~い水で、ですよね?」(こわごわ聞いてみる)
「もちろん!」
タワシで磨いた後は、水分が残らないように布で拭き上げるんだそうです。そして袋詰め、やっと出荷。
小松菜などの葉物も、土を落とすための水洗いが欠かせません。
それを何十、ときには百束以上…想像するだけで手がかじかんでくる気がしてきました!
多摩市内でも気温差が
多摩市内の畑、と一口に言っても標高によって寒さの度合いに違いがあるそうです。
連光寺地区の丘の上に畑を持つ農家さん複数にお話しを伺うと、やはり標高が高いため、畑により早く霜が降りるそうです。
「低地の方に雪が積もっていなくても、標高が高いところは積もっていることもあるんだよ」
なんと!雪の積もり具合も違うのですね、多摩市内の高低差は約100メートルほどあるそうです。
天候とともにある農家
最後にご紹介するのはある市内農家さんのこちらのコメント。
(寒さや冬の苦労は)「当たり前のこととして受け止めている。」
天候に右往左往せず、日々真剣に取り組まれているのですね。
雪や霜の被害にあった農家さんも、水が毎日冷たいよと教えてくれた農家さんも、状況をあるがままに受け止めている印象を受けました。
それでも冬の農作業は大変。そんな中、おいしい農作物を届けてくれる農家さんの強さ、しなやかさに触れることができた貴重な機会でした。
(M.H)