「6次産業化」と「農商工連携」【用語解説シリーズ その4】

~地元の農業をより詳しく知っていくための用語解説シリーズをお届けします~

目次

6次産業化とは

一生懸命作っても農産物の単価はなかなか上がりにくいもの。

なので、もっと付加価値を付けて売るべきだ、と言われて久しいです。

そこで15年ほど前から登場してきている概念が「6次産業化」です。

1次産業である農業に、2次産業(加工)3次産業(流通・サービス)の要素をかけあわせるという考え方です。

1次 × 2次 × 3次 = 6次

農水省も6次産業化を推奨しており、農業の新しい経営方法として注目されています。

多摩市にも6次産業化はある

多摩市でも6次産業化の例はいくつもあります。

農業と2次産業(加工)の組み合わせということでは、農業者の有志で味噌づくりをしている例があります。

多摩市農産加工組合の原峰のかおり味噌

3次産業(流通・サービス)との組み合わせしては、たとえば自ら育てた野菜を活用したレストランを経営している農業者がいます。

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また、イチゴやブルーベリーの観光農園を経営している農業者もいます。

市民向けの農業塾を開催している例も、6次産業化と言えるでしょう。

地元のマーケットが大きい東京都内の農業では、地方に比べて、観光農園やレストランなどが成り立ちやすいとも言えるでしょう。

農商工連携とは

6次産業化は、農業者自身が経営の幅を広げていく方向性です。

一方で、地元の異業種企業と連携して農業の付加価値を上げていくことを「農商工連携」と呼びます。

農商工連携も、6次産業化と同じように、農産物の付加価値を上げる手法として期待されています。

農商工連携が6次産業と違うのは、「餅は餅屋」と考えるということです。

6次産業は農業者自身が2次産業的な仕事や3次産業的な仕事もするので、うまくいけば、その利益はすべて農業者の手取りとなります。ただ、ノウハウがないこともやるのでリスキーではあります。

一方で、農商工連携は生まれた利益を複数の主体で分け合うことになります。

そのかわりに、流通企業やメーカーなどがもともと持っているノウハウや販路といった資源を使うことができます。

どちらがよいということではなく、ケースバイケースで使い分けるべきでしょう。

多摩市の多彩な農商工連携

多摩市での農商工連携の一番有名な例は、多摩市産のお米を使った日本酒『原峰のいずみ』です。

お米を育てているのは当然ながら農業者ですが、加工は福生市の石川酒造が担い、販売は酒販店の集まりである多摩市酒販組合が担っています。

そのほかにも、焼きかりんとうの『多摩の散歩道』は、材料の地粉や味噌を農業者が提供し、加工は障がい者支援施設のぐりーんぴーす工房が行っており、販売をアンテナショップPonteが担っています。

(Y.H.)

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