大きな木の奥には…
鎌倉時代の関所の跡として、地名にもその由来が刻まれた歴史ある街「関戸」。
今回は、その関戸で代々農業を営む須藤さんの畑にお邪魔しました。
入り口にある大きな木をくぐると、目を見張るような広大な畑が!
ここでは、谷戸(やと)の地形を生かした農業が営まれてきました。
谷戸とは、丘稜地が侵食されてできた谷状の地形です。
稲作をしやすい地形ということもあり、昔はこの辺り一帯が田んぼだったそう。
いまは都市化が進み、須藤さんの畑も住宅に囲まれていました。
須藤さんと一緒に谷戸をぐるりと探検!
春先はタケノコ、夏はブルーベリー、秋から冬にかけてはミカンや柿など、年間を通して旬の農産物が楽しめる圃場。
いつ来ても季節の移ろいを感じられることができそうです。
訪れたのは冬の端境期でしたが、今が見頃という梅林を案内していただきました。
見事に咲いた白い梅の花!梅の剪定のコツを聞いてみました。
「何もついていない枝が増えると日陰が多くなってしまうでしょ。
真上から見て全体に日光が当たるように剪定するのがコツかな」
春の到来を知らせる梅の花は、別名「春告花」と言います。
ほのかな香りと可憐な姿に、春の訪れを感じました。
なだらかな斜面の上部に、土砂崩れ防止のためにご先祖様が植えたという竹藪。
「この竹藪の下は岩盤になっていて、浸み込まなくなった雨水は湧水として地上に染み出てくるんだよ。」
神秘的な雰囲気の竹林にも、この土地の歴史を感じます。
昔は、畑の中央にも川が流れていたそうですが、今は暗渠になっていました。
粘土質の土壌なので、赤土で埋めて作物を作りやすい畑にしたそうです。
いろんな試行錯誤を得て、今の姿があるんですね!
さらに歴史をさかのぼると桑畑だったという畑の一帯に、わずかに残る桑の木を発見!
「子供のころ、ドドメ(桑の実)をこっそり食べたら親にすぐにばれちゃって。ドドメの実の色で、口の中が真っ黒になってたんだよな~」
笑って幼少期の思い出話をする須藤さん。
ドドメとは、桑の実のことですが、熟した紫色の実を口にすると唇が黒っぽくなってしまうそう!
桑の実が食べられるとは初めて知りましたが、甘味があっておいしいそうですよ~♪
田んぼだったところを盛り土にして作られたブルーベリー畑。
ぷっくりとした新芽がかわいいです。春にドウダンツツジに似た花を咲かせるそう。
須藤さん自作のなが~い竹棒?!この棒で柿の実を楽々収穫できちゃいます♪
秋に収穫最盛期を迎える銀杏の実は、地面に落ちる前に手でもいで収穫するそうです。
「手間はかかるけど、この方法だとエメラルドグリーンのきれいな色の実が取れますよ」
地元の酒屋さんでもとても評判がいいという銀杏、ぜひ一度味わってみたいですね~!
その時々の時代に合わせて作られてきた農作物の歴史が、畑のところどころに刻まれていて、それを生き字引のように紐解いていく須藤さん。
隠された土地の歴史を解き明かすテレビ番組の取材をしているようでした。
帰りには近くの関戸熊野神社へ
農園訪問の帰りに、須藤さんの畑から歩いて2,3分の関戸熊野神社へ訪問。
神社の入り口付近にて、関戸の由来が刻まれた案内板を発見!
数少ない中世の関所跡とは、ロマンを感じますね~
鎌倉街道に設けられた木柵跡は、東京都の指定史跡となっています。
「霞ノ関」という名前も風情がありますね。
関戸の熊野神社は、東京で唯一「桃の神様」を祀ってあるそうです。
畑や農作物のみならず地形や歴史について色んな発見ができた今回の取材は、まるで観光地巡りのようでとても楽しかったです!
今度は、桃が咲くころにこの地を訪れて歴史散策してみようと思います♪
(Y.A)